| 

Naoto AIZAWA

東京混声合唱団との時間

当日のリハーサルでの一枚

東京混声合唱団「相澤直人の世界」、盛会にて終演。

素晴らしい体験の余韻が凄まじく、ここ数日は普通の生活に戻るためにも、敢えて精神を高め?「余韻キャンセル」を試みてきた。

そんな中、あい混声合唱団の中に非公式に置いている、指揮者を志す「相澤ゼミ」のメンバーに、東混の皆さんの素晴らしかったこと、他ではこんなことを経験できない!ということを伝えたら(以前の記事をご覧ください!)、あるメンバーに「佐渡裕も著書で同じことを言っていた気がする」と指摘された。

それから、佐渡裕の3冊の著書を読み返し「棒を振る人生(PHP文庫)」にて、ついに発見!佐渡裕がベルリンフィルについて言及しているくだりで、こう書かれていたのだ。

“メンバーたちは、楽譜には書かれていない「行間」を指揮者がどう捉え、どんな音楽をつくっていくのかを知ろうとしていた。”

“僕が自分のイメージを伝えると、それが何十倍にも増幅されたすごい音が返ってくる。”

“あるパートに「こういうイメージで」と一つの指示を出すと、次はオーケストラ全体がパーンと膨らませてくる。すると、一つの指示が二つ目、三つ目の指示を同時に解決する。そうした反射神経に関しては抜きん出た力を持つオーケストラだった。”

これです、これ。

なるべく、イメージを伝えるときには「僅かだけ」具体性を持たせるようにしていたのだが(例: 息の圧力を上げて量を減らして etc)、イメージに対するアプローチが多様で、しかも毎回毎回その前の演奏を越えようとしてくるので、繰り返すたびに新しい!本番のライブ感も然り。「こうしてほしい」の伝え方、本当に重要で興味深かった。

終演直後に。同シリーズの作曲家、松下耕先生、上田真樹さんも。

反射神経に裏付けられるものに、経験と技術、センス、もしかしたら負けん気のようなものなどまで、たくさんあるのだろうが、それを東京混声合唱団の皆さんから間近で感じられたことが、1番の宝物だったなぁ、と思う。